Enjoy Every Sandwich

oshironatto2004-11-18

●`03年に発表された、Warren Zevon / The Wind は涙なくしては聞かれない傑作だ。肺ガンを宣告された上での衰えぬ創作意欲に敬意を表することしか出来なかった。諦観という言葉がある。この柔らかなまでの在り方は、そう呼んでいいと思う。そんな彼がボブ・ディランの『天国の扉』を歌うなど、もうブラック・ジョーク意外の何物でもないけれど、これはW・ジヴォーン独特のシニカルなまでの表情ののひとつと受け止めた方がいいのかもしれない。

タイトルは、宣告後の彼が『食べる度にサンドウイッチの味をどのくらい楽しむことになっているかを知っているよ』とインタヴューで語った事に由来している。いずれも、W・ジヴォーンと深く関わったミュージシャンがリスペクトを込めて参加している。ドン・ヘンリー、ステーヴ・アール、最近仲の良いトコロを聞かせるジャクソン・ブラウンボニー・レイット*1,おおっ!おひさのデヴィッド・リンドレー&ライ・クーダーのテイクが胸を締め付ける。どのテイクも故人への溢れんばかりの尊敬に満ちている。

そして、W・ジヴォーンが格別のリスペクトを捧げる、B・ディラン、ブルース・スプリングスティーンのライヴ・テイクが素晴らしい。制作は、ジェイコブ・ディランと”夢の二世共演”を果たした、息子のジョーダン・ジヴォーン、「The Wind」のプロデューサーでもある、盟友、ホルヘ・カルデロンだ。とりわけ、J・カルデロンが歌う、「Keep Me In Your Heart」は絶品です。

彼にとっての重要曲である(と、思われる)「Hasten Down The Wind」、「Desperados Under The Eaves」、「Mohammed`s Radio 」が無いのは何故か?あえて、ハズしたのか?
是非、第二集を制作して欲しいモノだと思う。

*1:ボニー・レイットはもの凄い、スライドを弾いている。そう言えば、彼女はロウエル・ジョージ追悼コンサートでもL・ジョージのスライド・パートを弾いたのだった