尾城夏人の名曲番外勝負

oshironatto2004-11-19

●名曲10番勝負が終わっての新しいコンテンツです。何か、変わり映えしないと思っているそこのアナタ!ちと違うのことよ。尾城のブログと言えば、地味で渋いシンガー・ソングライターか日本(主に吉祥寺方面)のフォークが御馴染みなのですが、今回はそんなアナタの期待を思いっきりはずす事請合います。力説してどーする!「ええっ!これはないんじゃないの?」とか「もう読まない!」という声が聞こえてきそうですが、だって♪好きなンだから〜でお付き合いいただけたらと思います。


●Rock&Roll,Hoochie Koo /Rick Derringer (`73年/ All American Boy)

リック・デリンジャーは`65年にマッコイズ「ハング・オン・スルーピー」で全米NO.1ヒットを獲得する。グループ名のマッコイはヴェンチャーズの大ヒット曲「ウォーク・ドント・ラン」のB面「The McCoy」から採られたそうだ。この人もまた、ヴェンチャーズの”あの音”に魅せられた、ギター小僧だったのである。アイドル的なポップ・スターに見切りをつけた彼が次に選択したのは、ジョニー・ウィンターとのジョイントだった。リックとしては、双頭バンドとの意気込みだったのでは?と思うが、そこは、唯我独尊のJ・ウィンター師、グループ名が”Johny Winter ,And..."である。もう、リックのプライド、ズタボロですね。が、これは結果的に吉とでた。ウィンター師も見事に再生し、リック自身も師の弟エドガーとのコラボで大ブレイクすることになる。

このカムバック感を引っさげて発表されたのが、リックにとっての初ソロとなる「All American Boy」である。そして、一曲目を飾るナンバーが表題のそれ。もう無茶苦茶、カッコいいR&Rナンバーなのだ。イントロ、印象的なリフと絶妙なまでのブレイクの全てが綿密にそして濃密に計算し尽されたサウンド・プロダクションの上で成立している。そして、驚くべきことにこのテイク、ドラムスとバック・ヴォーカル以外はリックが全て担当している。制作はビル・シムジック。その人脈である、ジョー・ウォルシュ一派、エドガー・ウィンターが参加している。そして、デヴィッド・ブロムバーグ(ドブロ)とトゥーツ・シールマンが参加というヴァラエティに富んだ人選だが、トータルな違和感はまったくない。優れた、ソング・ライティングのセンスも含め、ハードでポップなR&Rアルバムだ。